会社の資産のなかには土地・建物、在庫、機械、現預金などが含まれている。投資家が、株式投資をする際にはこれらの純資産額に対して株価(PBR)が割安か割高かを
判断する分析手法があるが、会社の資産の状況は決算書のBSをみれば確認することができる。
ところが、そこに盛り込まれていないのが知的財産(Intellectual property)だ。
その会社が保有している特別な技術やまたは、コーポレートブランドなどは、将来の売上に直結する大切な資産であるにも関わらず、会計制度では知的資産が指数として評価されていない。CIを資産とするような企業(たとえばコカコーラやBMW)は企業家から見ると大きな資産の一部なのである。
この背景には、会計制度が知財社会の動きに遅れをとっていることもあるが、企業も他社と競争するため差別化となる武器の知財情報については開示したがらない。
しかし知財立国を目指す日本として、それではまずいということで昨今、経済産業省では企業に対して特許・技術情報の任意開示を求める指針を発表している。
それに応じて大手企業の中では「知的財産報告書」を株主に向けて公表するケー
スが徐々に出始めている。報告書の中では、その会社の競争力となっている中核
技術の紹介や研究開発の動向、特許技術のライセンス体系と収益構造などが公開
されている。あくまでも任意の開示ということで、差し障りのない範囲での公開
というスタンスの企業もあるが、その内容からは各業界における知財ビジネスの
動向を垣間見ることができる。
ITの業界では特にこのような動きが目立っている。もともとオープンソースの商品が並ぶ中、情報を公開して投資家の目を引くほうがIRとしても有利ではないだろうか。